「心のレスキューボックス」の育て方〜五感で整える更年期の波〜

「心のレスキューボックス」の育て方〜五感で整える更年期の波〜
〜ご自愛しながら長い就業人生を渡り歩く〜
「困難な日も、こんなんな日も」の管理人、こんなんさんです。
40を過ぎると、体と心の変化に戸惑いますよね。以前の調子で行うとえらい目にあう。更年期症状やメンタルの波が日常に影響しまくります。
こんなときは一度自分のたなおろし「己を知るのが最大の防御」。今回は、更年期×うつと上手に付き合いながら、定年までの長い就業人生を歩むための「心のレスキューボックス」についてお話しできればと思います。
「わたしだけのレスキューボックス」が、この波を乗り切る強い味方になるはず—そんな視点でいっしょに考えていきましょう。
■ 「心のレスキューボックス」って何?
心と体の休憩ボタンを押すためのツール
「心のレスキューボックス」とは、自分自身を落ち着かせてくれる、癒してくれるものを集めた「わたしだけの特別なキット」のことです。
- 更年期のホットフラッシュで息苦しいとき
- 仕事のストレスでイライラが止まらないとき
- 憂うつな気分が押し寄せてきたとき
- 眠れない夜が続いているとき
こんなとき、レスキューボックスの中から「今のわたしに必要なもの」を取り出して使うことで、少しずつ心と体のバランスを取り戻すお手伝いをしてくれます。
実際に箱やバスケットを用意してもいいですし、スマホのフォルダやノートにリスト化するだけでもOK。大切なのは「いざというときにすぐ使える」ように準備しておくこと。
わたし自身、うつの症状がひどかった時期に、主治医から「あなた自身を助ける道具を集めておきましょう」とアドバイスされて始めました。それは本だったり、香りだったり、予兆のようなシグナルを書き留めたものだったり。今では日常のケアに欠かせないものになっています。
なぜ五感なの?体と心の深いつながり
五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)は、わたしたちの脳と体を直接つなぐ経路です。とくに更年期やうつ状態では、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れがちになるといわれています。
そんなとき、五感を通じた心地よい刺激は:
- 副交感神経を活性化(リラックスモードへの切り替え)
- セロトニンやドーパミンなどの気分を整える神経伝達物質の分泌促進
- コルチゾール(ストレスホルモン)の減少
といった効果をもたらすことが知られています。
更年期やうつ状態では「脳と体のコミュニケーション」がうまくいかなくなることがあります。そんなとき、五感という「原始的で直接的な経路」を使うことで、少しでも心と体のバランスを取り戻すお手伝いができるのです。
■ 五感別「レスキューボックス」の作り方
視覚(見る)〜目からの癒し
視覚は情報を最も多く取り入れる感覚。だからこそ、意識的に「目に優しいもの」を選ぶことが大切です。
体からのサイン:視覚の変化に気づく
- 目がかすむ、ぼやける
- 視界が狭く感じる
- メガネやコンタクトの度が合わなくなってきたと感じる
- PCやスマホの画面を見ると極端に疲れる
- 光に敏感になる(まぶしさに耐えられない)
これらのサインを感じたら、目と脳を休める時間が必要です。視覚からの過剰な情報入力を一時停止して、癒しの要素を取り入れましょう。
レスキューボックスに入れたい視覚アイテム:
- 心地よい色や景色の写真(森や海、お気に入りの場所など)
- 優しい色合いのストールやハンカチ
- 落ち着く色のインテリア小物(キャンドルなど)
- 光の強さを調整できるライト
- 目を休めるためのアイマスクや温かいタオル
わたしの場合、スマホに「癒し写真フォルダ」を作って、旅行先で撮影した海や森、夕暮れの空などの写真を保存しています。インスタのわんちゃんリールを見ることもわたしの癒しです。
また、デスクに小さな植物を置くようになってから、仕事の合間に緑を見る習慣ができ、なんとなく愛でる気持ちを得ることができました。視界がぼやけてきたら、目の横のツボを押して深呼吸するなど「暗闇休憩」を取ることも。「目が疲れちゃってさ~」といいながらやると、周りも「わたしも、わたしも」といっしょにほぐしながらコミュニケーションタイムになることも。
聴覚(聞く)〜耳からの安らぎ
音は直接的に自律神経に働きかけ、心拍数や呼吸のリズムに影響します。
体からのサイン:聴覚の変化に気づく
- 耳が詰まったように聞こえる
- 特定の音に過敏に反応する(大きな声や高い音など)
- 人の声が聞き取りにくい
- 耳鳴りがする
- 周囲の音が気になりすぎて集中できない
これらのサインは、聴覚を通して神経系に負担がかかっていることを示します。騒音から離れて静かな環境を作ったり、心地よい音で上書きしたりする時間が必要です。
レスキューボックスに入れたい聴覚アイテム:
- リラックス効果のある音楽プレイリスト
- 自然音(雨音、波の音、鳥のさえずりなど)
- ホワイトノイズやピンクノイズ
- 瞑想用のガイダンス音声
- 耳栓や防音性の高いイヤホン(時に「音がない状態」も必要)
わたしのスマホには「おやすみプレイリスト」と「朝の目覚めプレイリスト」の2種類を用意しています。夜、なかなか眠れないときは、波の音とピアノの静かな曲を組み合わせた音楽が効果的です。かならず眠れる気功動画なんても入れています。なんとなく効く気がするんですよね。
職場で感じたサインには、トイレ休憩中に2分間だけノイズキャンセルのイヤホンで無音を味わうことも。目の休憩が必要なように実は耳も休息時間が必要なんです。
嗅覚(嗅ぐ)〜香りの力
香りは脳の大脳辺縁系(感情をつかさどる部分)に直接働きかけるため、気分転換に即効性があるといわれています。
体からのサイン:嗅覚の変化に気づく
- 自分の汗や体臭が気になる(以前より敏感に)
- 特定の香りに過剰に反応する
- 日常の匂いが急に不快に感じる
- 香水や芳香剤の香りが強すぎて頭痛がする
- 匂いが変わったと感じる(金属臭や苦い匂いなど)
嗅覚の変化は、ホルモンバランスの変動と密接に関係しています。更年期には、体臭が変化したり、匂いの感じ方が敏感になったりすることがあります。自分に心地よい香りやお手入れ方法を選び直すきっかけになるかもしれません。
レスキューボックスに入れたい嗅覚アイテム:
- アロマオイル(ラベンダー、ベルガモット、ミントなど)
- アロマスティック(持ち運び用)
- ハーブティーのティーバッグ
- 好きな香りのハンドクリーム
- 入浴剤
- 無香料や自然な香りのボディソープやデオドラント
わたしが重宝しているのは、小さなアロマスティック。鞄に入れておけば、電車内や会議の合間にそっと香りを楽しめます。ホットフラッシュで汗ばんだときも、ほんのり香るハンドクリームを塗ることで、不快感を和らげています。
体臭が気になる日は、優しい香りのボディミストを使うのではなく、あえて無香料のものを選ぶこともあります。「香りのリセット」も時には必要なのです。家では季節に合わせて入浴剤を変え、冬はラベンダー、夏はミントやユーカリなど。呼吸といっしょに香りを感じて自然浴を味わっています。
味覚(味わう)〜口からの幸せ
味わうという行為は、意識を「今ここ」に集中させる力があります。
体からのサイン:味覚の変化に気づく
- 口の中が苦く感じる
- 塩気のあるものが異常においしく感じる
- 甘いものを強く欲する
- 食べ物の味がわかりにくくなった
- 金属的な味がする
- 唾液の分泌が少なく口が乾燥する
味覚の変化も、ホルモンバランスや自律神経の乱れのサインかもしれません。塩分や糖分への欲求が強まるのは、体が何かを求めているサインでもあります。ただ無理に抑えるのではなく、健康的な形で満たす工夫を。
レスキューボックスに入れたい味覚アイテム:
- ハーブティーの種類(カモミール、ペパーミント、ルイボスなど)
- 少量の高カカオチョコレート
- 乾燥果物(レーズン、クランベリーなど)
- オレンジやレモンなどの柑橘系ドリンク
- 天然はちみつやメープルシロップ(少量の自然な甘さ)
- 塩分補給のための昆布や梅干し
わたしにとっての「救世主」は、緊張した会議の前に口に含むペパーミントタブレットと白湯。爽やかな刺激と胃がじんわりあたたまる感覚がなんともリセットにはいいのです。
口の中が苦く感じる日には、レモン水がリセット効果を発揮します。マグネシウムを数滴たらせばサプリ代わりにも。また、甘いものへの欲求が強い日は、無理に我慢せず、「意識して味わう」ことでごほうび。脳を喜ばせることを優先します。
唾液の減少で口が乾燥する日には、マヌカハニーを少量舐めるのも効果的でした。唾液がどんどん減っていくのも更年期の症状。白湯を飲む習慣づけが大切と感じています。
触覚(触れる)〜肌からの癒し
触覚は、親密感や安心感を生み出す大切な感覚です。
体からのサイン:触覚の変化に気づく
- 肌全体が乾燥している
- 手指が動かしづらい、こわばる
- 洋服の素材が気になる、チクチクして耐えられない
- 体が重たく感じる
- 痛みに敏感になる
- 皮膚が敏感になり、かゆみを感じやすい
触覚の変化は、皮膚の状態だけでなく、筋肉や関節の変化も反映します。更年期には肌の乾燥やこわばりが増すことがあるため、意識的に「心地よい触れる感覚」を取り入れることが大切です。
レスキューボックスに入れたい触覚アイテム:
- 肌触りの良いストールやブランケット
- 柔らかいクッションやぬいぐるみ
- 温めるとほっとするネックピロー
- さらっとした肌触りのパジャマ
- マッサージボールや手のひらサイズのツボ押しグッズ
- 保湿効果の高いハンドクリームやボディクリーム
- 天然素材のヘアブラシ
わたしが仕事疲れを感じる日に最初にすることは、帰宅して硬い仕事着からカーゼの部屋着に着替えること。締め付けから解放されるだけでもほっとします。
とくに冬場の手の関節が固くなりやすい日には、シャワーを浴びながら手湯をするだけでも驚くほど楽になります。また、肌の乾燥が気になる季節には、つばき油のボディオイルにローズを入れて全身をくまなくマッサージするのが日課に。手で自身の身体を触ってあげると優しくハグしているような気持ちで気分がいいんですよ。
就寝時は枕にこだわり、自分の首の形に合ったものを選ぶことで、肩こりも軽減しました。もう体はアスリートのようにケアしないといけない年齢なんです。いびきも軽減された気がしています。
■ 「心のレスキューボックス」を育てるコツ
無理なく始める小さなステップ
「レスキューボックス」は一気に完成させる必要はありません。むしろ、少しずつ育てていくものです。
始め方のコツ:
- まず「今、持っているもの」からスタート(特別なものを買う必要なし)
- 五感のうち、特に効果を感じるものから優先的に集める
- 「これが効いた!」と感じたら、ジャーナリングノートに記録しておく
- 少しずつ試して、自分に合うものだけを残していく
- ボックスといっても、スマホの写真などデータもこの中に入ります
わたしの最初のレスキューアイテムは、妹がくれた背中のコリに効くぬいぐるみでした。コリにはあんまり効かなかったのですが、さわり心地がよく、気づくとなでなでして癒されています。
季節に合わせた見直しと更新
季節によって体調や気分も変わります。レスキューボックスも季節に合わせて中身をアップデートしてみましょう。
季節ごとの見直しポイント:
- 春:花粉症対策(ミントの香り、目の疲れケアなど)
- 夏:暑さ対策(ひんやり感のあるアイテム、水分補給グッズなど)
- 秋:乾燥対策(保湿クリーム、温かい飲み物など)
- 冬:冷え対策(温めグッズ、暖色系のアイテムなど)
わたしは季節の変わり目に「今シーズンの心のレスキューボックス」を考える時間を設けています。春は花粉症で目が辛いので目元を冷やすジェルマスクを追加したり、冬は冷えが辛いので腹巻きや温かい飲み物の種類を増やしたり。
体調の変化に合わせて、ボックスの中身も成長させていくことで、より効果的なセルフケアが可能になります。
「これいい」を増やす実験精神
自分に効くものは、人それぞれ違います。色々試して「これはいい!」というものを見つける実験的な姿勢が大切。
高価なものより、「自分に合うもの」が一番。試行錯誤を楽しむ気持ちで、少しずつマイレスキューボックスを充実させていきましょう。
■ おわりに:わたしは「わたしの専門家」
心のレスキューボックスづくりを通じて気づくことは、「自分にとって心地よいものを知っているのは、自分自身」ということ。そして、自分の体からのサインに敏感になることで、不調が深刻化する前に対処できるようになります。
更年期とうつの波を乗り切るために必要なのは、「自分自身の声に耳を傾ける時間」なのかもしれません。
五感を通じた小さな心地よさを集めた「わたしだけのレスキューボックス」。それは更年期という人生の大きな波を、少しでも穏やかに過ごすための知恵の結晶です。
みなさんは、どんな「心のレスキューアイテム」を持っていますか?あなたの発見や工夫、ぜひコメント欄でシェアしてくださいね。
「困難な日も、こんなんな日も」
── こんなんさん
※この記事についてのご感想や、あなた自身の体験談などがありましたら、ぜひコメント欄でシェアしてください。みなさんの声が、次の記事の励みになります。
*「こんなんな日も」とは、「こんなん出た」、「こんなんいるー?」など、関西弁から取りました。ただ、管理人は関西人ではありません…。